第三十六候大雨時行 (たいうときどきふる)

七十二候「大雨時行（たいうときどきふる）」は、夏の盛りに激しい夕立やにわか雨が降る頃を表します。入道雲から突然降り注ぐ雨は、大地を潤し、夏から秋への移ろいを告げます。

大雨時行とはどんな季節か

「大雨時行」は二十四節気「大暑」の末候にあたり、例年7月下旬から8月初め頃を示します。真夏の暑さが極まり、急な雷雨や夕立が多くなる季節です。

強い日差しで温められた空気が上昇し、積乱雲を生み出すことで大雨が発生します。自然のリズムそのものです。

この候は、夏の終盤を彩るダイナミックな天候を象徴しています。

突然の夕立は驚きとともに、涼しさを運んでくれます。蒸し暑さを一気に和らげる自然の恵みでもあります。

農作物にとっても恵みの雨となり、田畑を潤し、実りの準備を整えてくれます。人々の暮らしと直結していました。

大雨時行は、自然が与える厳しさとやさしさを同時に感じさせる候です。

夕立やにわか雨は、俳句や和歌の題材としても多く登場します。儚さや一瞬の涼しさを表現する象徴でした。

また、雷や雨音は夏の風物詩として親しまれ、人々の心に季節の記憶を残しました。

「大雨時行」という候は、自然現象を文化や情緒にまで昇華させた日本人の感性を示しています。

大雨により街並みや自然が一変し、虹がかかることもあります。雨は景色に新たな彩りを与えます。

夕立後の涼しい風や草木の香りは、夏ならではの心地よさを運んでくれます。五感で楽しめる時間です。

雨をただ不便と捉えるのではなく、自然の演出として受け止める視点も暮らしを豊かにします。

突然の雨に出会ったときは、足を止めて空を見上げてみましょう。自然の力強さと美しさを体感できます。

また、雨上がりに散歩をして、光や匂いの変化を楽しむのもおすすめです。夏の終わりを感じられる瞬間です。

七十二候「大雨時行」を意識することで、自然と調和し、移ろう季節を丁寧に味わう暮らしが広がります。