第三十八候 寒蝉鳴 (ひぐらしなく) | 七十二候

七十二候

七十二候「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」は、夏の終わりにひぐらしが鳴き始める頃を表します。物悲しくも澄んだ声が響き、季節の移ろいと涼しさを告げる合図となります。

寒蝉鳴とはどんな季節か

「寒蝉鳴」は二十四節気「処暑」の初候にあたり、8月下旬頃を示します。暑さの盛りが過ぎ、朝夕に涼しい風が吹く季節です。

ひぐらしの鳴き声は「カナカナ」と澄んでおり、夏の喧騒から秋の静けさへと移る境目を感じさせます。

その声は、一日の終わりや季節の区切りを象徴するように人々の心に響いてきました。

ひぐらしの特徴と鳴き声

ひぐらしは、主に山間部や林に生息し、薄明の時間に美しい声で鳴くセミです。姿は控えめながら、その声は強い存在感を放ちます。

「カナカナ」という独特の鳴き声は、耳に残りやすく、夕暮れの情緒をいっそう引き立てます。

寒蝉鳴の候は、この鳴き声を通じて自然の時間の移ろいを感じられる季節です。

文化に描かれるひぐらし

ひぐらしは文学や俳句に多く登場します。その鳴き声は、もの悲しさや無常感を表す象徴として用いられてきました。

「寒蝉」とは、秋に鳴くセミの意味であり、その音色は古来より秋の訪れを告げる合図とされました。

ひぐらしの声に耳を澄ませることは、日本人の自然観や季節感を味わうことにつながります。

暮らしの中のひぐらし

山や森の近くで生活していた人々にとって、ひぐらしの声は一日の終わりを告げる合図でもありました。

涼しい夕暮れ時に響く声は、日常の中で自然とともに暮らすリズムを教えてくれます。

都市部ではなかなか耳にする機会は減りましたが、旅行や自然散策でその声に出会うことができます。

寒蝉鳴を日常に感じる

日常生活の中でも、音楽や文学を通じてひぐらしの声に触れることは可能です。秋の入り口を意識するきっかけになります。

また、夕暮れの時間をゆっくり過ごすことで、自然の移ろいを心静かに感じ取れるでしょう。

七十二候「寒蝉鳴」を意識して過ごすことは、自然と調和し、季節を丁寧に味わう暮らしにつながります。

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