第三十七候涼風至 (すずかぜいたる) | 七十二候

七十二候「涼風至（すずかぜいたる）」は、夏の熱気が和らぎ、心地よい涼風が吹き始める頃を表します。厳しい暑さの中に秋の兆しを感じる、季節の変わり目の候です。

涼風至とはどんな季節か

「涼風至」は二十四節気「立秋」の初候にあたり、例年8月上旬に訪れます。暦の上では立秋となり、残暑の中にも秋の気配が漂い始めます。

昼間はまだ強い日差しが照りつけますが、朝夕に吹く風はひんやりとし、季節の移ろいを感じさせてくれます。

涼風は自然がもたらす秋の先触れであり、日常の中に小さな変化を届けてくれる存在です。

この時期、空は次第に高く澄みわたり、雲も夏の入道雲から秋の鱗雲や筋雲へと変わっていきます。

草木は夏の盛りを過ぎ、葉先に少しずつ秋色が混じり始めます。自然界全体が季節の移行を映し出しています。

涼しい風とともに訪れる小さな変化を感じ取ることが、七十二候の魅力のひとつです。

涼風は古来より和歌や俳句に多く詠まれ、夏から秋への境目を象徴する言葉として用いられてきました。

「涼し」という表現は、ただ気温の低さを指すのではなく、心地よさや清らかさを意味する言葉でもあります。

涼風至の候は、日本人の自然に寄り添う感性や、美意識を感じさせる時期といえるでしょう。

朝の通勤や夕方の散歩で感じる涼しい風は、季節の移り変わりを実感させてくれます。忙しい日常でも自然を感じる瞬間です。

また、涼風が吹く頃には食欲も戻り、旬の野菜や果物を楽しむのに適した時期となります。

自然のリズムに合わせた暮らし方を意識することで、健康的で豊かな時間を過ごせるでしょう。

窓を開けて涼風を取り込みながら読書やお茶を楽しむなど、日々の生活の中に季節感を取り入れてみましょう。

また、夕涼みや朝の散歩は、この季節ならではの自然の恵みを味わえる時間となります。

七十二候「涼風至」を意識することで、自然との調和を大切にし、季節を丁寧に楽しむ心が育まれます。