第二十九候 菖蒲華 (あやめはなさく) | 七十二候

七十二候

七十二候「菖蒲華(あやめはなさく)」は、あやめの花が咲き始める頃を表します。梅雨の湿り気を帯びた風景の中に鮮やかな花が彩りを添え、初夏の訪れを告げてくれます。

菖蒲華とはどんな季節か

「菖蒲華」は二十四節気「夏至」の次候にあたり、例年6月下旬頃を示します。日照時間は最も長く、季節は梅雨の真っ只中です。

雨に濡れたあやめの花は、湿った空気を清らかに感じさせる存在として親しまれてきました。

菖蒲華は、梅雨の鬱陶しさを和らげ、心を潤す自然の彩りを伝える候です。

あやめと花のちがい

「あやめ」と呼ばれる花には、カキツバタやハナショウブなど似た花があり、古来よりしばしば混同されてきました。

いずれも梅雨時期に咲き、紫や青の美しい花を水辺に広げ、人々の目を楽しませてくれます。

菖蒲華の候は、これらの花々がいっせいに咲き誇る、華やかな時期を象徴しています。

あやめの文化的な意味

あやめは「文目」とも書かれ、模様や区別を意味する言葉に由来します。整った花模様は調和や美しさの象徴でした。

和歌や俳句にも多く詠まれ、梅雨時の風情を映し出す花として親しまれてきました。

菖蒲華は、自然と文化が結びついた日本の美意識を感じさせる候です。

暮らしに息づく菖蒲

古くから菖蒲は薬効のある植物として知られ、厄除けや健康祈願に用いられてきました。端午の節句に菖蒲湯に入る習慣もその一つです。

花としての菖蒲は観賞用に、葉や根は生活の知恵として利用され、人々の暮らしに寄り添ってきました。

菖蒲華の候は、花の美と暮らしの知恵が共存する季節でもあります。

菖蒲華を日常に取り入れる

庭園や花菖蒲園を訪れ、雨に濡れる花の姿を観賞するのは、この時期ならではの楽しみです。

また、あやめや菖蒲をモチーフにした工芸品や和菓子を取り入れると、季節感を暮らしに添えられます。

七十二候「菖蒲華」を意識することで、梅雨の時期を美しく楽しみ、自然との調和を感じることができるでしょう。

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