第三十一候 温風至 (あつかぜいたる) | 七十二候

七十二候

七十二候「温風至(あつかぜいたる)」は、夏の熱気を帯びた南風が吹き始める頃を表します。いよいよ夏本番を迎え、自然も人々の暮らしも活気に満ちる季節です。

温風至とはどんな季節か

「温風至」は二十四節気「小暑」の初候にあたり、例年7月上旬頃を示します。梅雨明けが近づき、湿った空気とともに熱気を帯びた風が吹き始めます。

これまでの梅雨寒が嘘のように、気温はぐんぐん上昇し、夏の厳しい暑さが本格化していきます。

温風至は、まさに「夏の入口」を告げる候といえるでしょう。

自然に表れる夏の兆し

蝉の声が一斉に響き始め、草木は青々と茂り、夏の生命力を全身で感じられる時期です。

田畑では稲がすくすくと育ち、野菜や果物も実りの準備を進めています。自然は勢いを増し、活動を活発にしています。

温風至の頃は、夏の力強さと躍動感が風景に表れる季節です。

温風と暮らしの知恵

この時期の熱気を伴う風は、体に堪える一方で、夏ならではの風物詩でもあります。風鈴や打ち水は涼を感じる暮らしの工夫でした。

また、川遊びや花火など、夏の楽しみが人々の生活に彩りを添える時期でもあります。

温風至は、暑さを和らげる知恵とともに、夏を楽しむ文化が育まれた候です。

文化に残る夏の風

和歌や俳句では、熱風を「南風(はえ)」や「白南風」と詠み、季節の移ろいを象徴する言葉として用いられてきました。

夏の風は、力強さと同時に無常さや移ろいを感じさせる題材でもありました。

温風至は、日本の文学や芸術において「夏の気配」を映す大切な言葉のひとつです。

温風至を日常に取り入れる

朝夕に吹く風の変化に気づくだけでも、七十二候の感性を暮らしに取り込むことができます。

また、旬の夏野菜や果物を食卓に取り入れれば、体を内側から整え、暑さに備えることができます。

七十二候「温風至」を意識することで、自然の力強さと調和し、夏を前向きに楽しむ心が育まれるでしょう。

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