第三十候 半夏生 (はんげしょうず) | 七十二候

七十二候

七十二候「半夏生(はんげしょうず)」は、カラスビシャクという薬草が生え始める頃を表します。梅雨の後半にあたり、農作業の大きな区切りとして古くから重要視されてきました。

半夏生とはどんな季節か

「半夏生」は二十四節気「夏至」の末候にあたり、例年7月2日から6日頃を指します。田植えを終える目安とされ、農村では特別な意味を持つ節目でした。

この時期を過ぎてからの田植えは実りが悪いとされ、農作業の区切りとして「半夏生まで」が一つの基準とされてきました。

半夏生は、自然と農業が深く結びついていた日本の暮らしを象徴する候です。

カラスビシャクと薬草の知恵

「半夏」とはカラスビシャクという草のことで、独特の仏炎苞を持ち、薬用植物として知られてきました。

漢方では去痰薬や鎮吐薬として利用され、暮らしの中で人々の健康を支えてきた歴史があります。

自然の恵みを生活に生かす知恵が、七十二候「半夏生」に息づいています。

農村の風習と半夏生

農村では「半夏生の日までに田植えを終える」という言い伝えがあり、この時期を過ぎると田の神様が田植えを嫌うともされました。

また、半夏生の日には農作業を休み、神様に感謝する風習も各地に残されています。

田植えを終えた喜びと、無事の収穫を祈る心が込められた行事です。

食文化に残る半夏生

関西地方では、半夏生の日に「タコ」を食べる風習があります。タコの足のように稲がしっかり根を張ることを願ったものです。

福井県などでは焼き鯖を食べる風習があり、地域ごとに異なる食文化が受け継がれています。

食を通して自然への感謝と願いを表す風習は、今も人々の暮らしに息づいています。

半夏生を日常に取り入れる

現代では田植えを意識する機会は少なくなりましたが、半夏生を季節の節目として意識することは可能です。

旬の食材を味わったり、地域の風習を調べてみることで、自然とのつながりを再確認できます。

七十二候「半夏生」を暮らしに取り入れることで、季節のリズムを感じ、自然とともにある時間を過ごせるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました