第四十三候草露白 (くさのつゆしろし) | 七十二候

七十二候「草露白（くさのつゆしろし）」は、早朝の草葉に宿る露が白く輝き始める頃を表します。涼やかな朝の気配とともに、秋の訪れを五感で感じられる時期です。

草露白とはどんな季節か

「草露白」は二十四節気「白露」の初候にあたり、9月上旬頃に訪れます。夜の冷え込みが増し、朝の草に宿る露が白く光り始める季節です。

朝日を浴びてきらめく露は、秋の到来を告げる小さな自然のサイン。夏の名残を残しつつも、季節は静かに移ろいます。

草露白は、自然の細やかな変化に気づくことで、秋の始まりを感じる候なのです。

露は古来より和歌や俳句の題材として詠まれてきました。はかなく消える姿に、人の心を重ねた表現が多く残されています。

「露の命」という言葉があるように、露は無常観や人生の儚さを象徴する存在でもあります。

草露白の候は、こうした日本人の繊細な感性を改めて思い出させてくれる時期といえるでしょう。

朝の草葉に宿る露は、光を受けて宝石のようにきらめきます。自然がつくり出す美の瞬間に、心を奪われる人も少なくありません。

散歩や庭先で露を見つけると、ほんのひととき心が穏やかになります。小さな自然の美を楽しむ習慣は、日々を豊かにしてくれます。

秋の朝露は、自然と人の心を静かにつなぐ架け橋のような存在なのです。

農作物にとって露は大切な水分源のひとつでした。朝露が豊かに降りることは、稲や草木の成長を支える恵みでもあります。

一方で、露が白く見えるほど気温が下がることは、秋の深まりや寒さの到来を知らせるサインでもありました。

自然の現象を観察し、暮らしや農業に役立ててきた先人の知恵が、草露白という候に息づいています。

朝の時間に散歩をして露を探したり、写真に収めてみることで、草露白の候を身近に感じられます。

また、露を題材にした和歌や俳句を読んでみると、自然と文化が織りなす秋の情緒をより深く味わえるでしょう。

七十二候「草露白」を意識することで、自然とともにある暮らしの豊かさを再発見できます。